RPについての取っ散らかり文

RPとは:ロールプレイ。役割を演じるではなく、もっと濃いめにPCとして喋ることを指す。

今年のクエノアドカレを書くにあたって脈絡なく考えていたものの残骸です。一本の記事としてはまとまらなかったけどまあまあ文量が増えた残骸たちの置き場。「残骸」よりも「まだ生まれていない」みたいな言葉のほうが近い気がしますが単語が浮かばなかった。何ていうんだっけ。ろくな推敲してないし思想が出てるし学びある内容でもないけど、残骸ってのはそういうものでいいんだ。当アカウントは何も生まない考え事をよくやる。

色々考えた末に出るものが算数(とScrapbox)なの意味が分かりませんね。本当にクエノアドカレの記事なのか?でもこのような未完成の寄せ集め記事と算数、どちらが有用な記事かは自明ですね。算数ですね。

心情描写の視点

RPにおけるセリフ以外の描写。物の説明、場面・背景の説明、あとは心情描写。調べたらどうやら「心情」と「心理」でニュアンスが違うっぽいけど細かいことはいい。
ともかくセリフ以外のこれらは別々扱いの時も一緒くたにされる時もあって、一緒くたでようやく一つの心情表現になることもある。特に心情心理を交えた描写は、キャラクターの味と書き手の味、両方ならではがあっておいしい。おいしいが、いざやるときは難しい。特に文章の推敲や前後関係を見直す時間がないリアルタイムRPでは顕著。いざどのように書くか?

私はこう感じる

私は悲しみを覚えた。

直球心情描写。個性ある表現力などは潔く諦める。でも伝わりやすいし、分かりやすいし、何てったって分かりやすい表現というのは奇をてらわないなりの破壊力がある。ぱっと出されるとウッッてなるやつ。

ただ自分でやる時を考えると、いつもこれだと捻りがないかな~って気分になってしまうのが難点。特に自分は「他人の目から見えない心理描写は書かない」派閥に所属しているので。え?書かない派閥なのにいつもあんなんを書いてるの!?はい……。素直に書くことは心情描写の入門編には違いない。

私はこうする

私は目を伏せた。

小説の心情描写の仕方を検索したときに出てくるのはだいたいこういう書き方。基礎の基礎なんだろうね~。表現力よりも純粋な語彙、というか一般的に普及している慣用句や動作の把握が必要になる。相手からしたら「お前は目を伏せた。つまり、そうするってことは…」と伝わりやすいものの、正確な部分の受け取り方は相手に任せることになる。悲しい、悔しい、気まずい、この辺り。「心情描写をしたいと思う場面」における空白の差はでかいが、空白というものは味がする。

一つ問題としては、被りやすいこと。自分だけでもそうだし、相手とも被る可能性がある。被りが悪いんではなく、あまりにも同じことを繰り返しすぎると芸がないなって自覚して苦しむ。でも他に表現する言葉知らないんだよ~~助けてくれ。短時間内に使用語彙が被ると死ぬ病を患っている。

自分はこれがやりたいが、これが本当~~~~~に下手。↑の理由もあるが、そもそも物事から受け取る解像度が低くて「これは何か」の認識ができず、表現としても出せない。何も考えてないってことだね。そろそろ学べ。

私はこう感じているから、こうする

私は悲しみに目を伏せた。

感情プラス動作の描写。どの感情であるかの正解があるし、動作として目に見えているから相手も(PL的にもPC的にも)認識・反応しやすい。
心情描写を避けたいなら、悲しみに~の部分を、悲しみを覚える原因に差し替えてもいいはずだ。「無情に立つ売り切れの看板に」とか。例としてはテンションが微妙に合っていない。かなり実践したくなってきた。

あなたには「私がこう感じている」ように見える

貴方から見えるのは、悲しみによってか目を伏せる私だ。

主語・視点が自PCではない。三人称視点ってやつか。「あなたにこう見える」を提示する。

受け取り方の一例を提示しているから伝わりやすい。ただしRPにおいて「あなたにこう見える」は確定ロールに関わってくるので多分あんまりよくない。印象はこうだろう、のニュアンスがいいかな。ついでに、メタの手でPCの感情が伏せられ、相手PLは「額面通りに受け取っていいのか、伏せたからには裏があるのか」の心理戦が始まる。単なる行動描写ならこの書き方で何も問題はなかろうが、PCを俯瞰しないと書けないアカウントは心情にもこれを多用する。自己紹介です。いつも本当にすみません。

自分がこの描写をしたときに気にするのは、「相手の描写を自分なりに噛み砕いてPCの認識に反映する」という相手の段階を奪うこと。相手が受け取る情報を、相手が吟味するのではなく、完成品で出してしまうというか。RP的な確定ロールとはまたちょっと違ってぇ~。うまい人はちゃんと活用するんだろうが、当アカウントはむやみな多用である自覚がありまくる。あ~。

背景

寄る辺を失った枯れ葉が翻弄される。冷たく煽る風になすすべもなく、はらり、はらり、最後に寂しげに地に伏せた。

いっそ人からカメラを外し、情景描写で心情を匂わせるやつ。自分はできないから例文で詰んだ。例文で伝わることは寂しさ、孤独感、無力感、大体そのあたりを目指した。めちゃくちゃ格好いいからやりたいけど表現力がないアカウントには無理だ。こんな感じで落ち葉が地に着いた瞬間にアクティブ入れる因縁PVPを見たことがある。格好よかった。

(心情を描写するからには)相手に伝わってほしいと思うが、こういう匂わせだと確実に伝わらない可能性は高めかな。でもカッコイイから些細な欠点はどうでもよくなる感じある。映像表現においてカメラが登場人物から大きく引く時を想像する。RPってよりは演出って感じ。

あえて短文にしたい時

RPは発言と発言の繰り返し。Aが喋り、BがAを受けて喋り、AがBを受けて喋り……という繰り返しで会話が成り立つ。このやり取り中に存在する意識はAB共に「相手の発言の意図を汲み取って」「話題を広げる/別の話題につなげる」というもの。それらの意図って言わば既に線になっている。点じゃない。

人々は話題を単発で発言しているんじゃなくって、「この話題にはこれを返し、自分からはこう提示する」「相手の発言が少なければ、自分がちょっと多めに喋って繋ごう」みたいな意識が働く。Aの発言が60/100ならBは残りを請け負って140/100喋るかもしれないし、Aが120/100でもBは100/100を返すかも。

で、良し悪しとはもちろん別ベクトルの話で、↑こういうキャッチボールではできない会話があって、

「すてきなレストランですね、ここは」
「にぎやかで?」
「きわめて好都合に、にぎやかで」
「時には静かになる」
「……ほう?」
「噂をひとつ」

古川日出夫『ベルカ、吠えないのか?』

「ほんとに眠ってる?」
「そう見えるけど、なぜ?」
「話があるんだ」

『ハリーポッターとアズカバンの囚人』

このセリフなんかいいよねって話。
「ほんとに眠ってる?」は、同じ部屋にいる話し相手以外の人についての言葉。

「能動的に伝えたい情報を持たない」セリフ。「その心は?」ってやつ。漫画・小説ではよくある会話だけど、RPでは滅多にない。なぜ漫画小説でよくあるかって、当然ながら書き手が先の展開に繋がるよう書いているからなんですけど………………。

さておきRPで「ただ次を促すだけ」という発言はやりづらい。促すをやる側は「発言が少ないと相手が大変だろうから文量を増やしたい」し、やられる側は「促されるだけ」を期待して喋ることはしない(期待=お前は喋らなくていいってことになるし)。期待していると分かる物言いを心掛けるなら、露骨に読点でセリフを区切る、などか?それなら上のような強気な場面でも勢いは失われない。どうでもいいけど句点と読点を未だに正しく覚えられない。
質問のない促し方は難易度が高い。「なるほど、それで?」みたいな。空振りだったときがまずい。やるとしても「○○ということですか?」みたく具体的に聞きたい。これが丸いけど自分の手で美しい流れを壊してしまう気がする。いやどう考えても美しさより伝わりやすさだろ。つい可能な表現・できない表現について考えちまうんだ。すみません……。

「相手の発言の意図が分からない時」って、自分が正しく受け取れていないのか、相手が故意あるいは無意識にそうしているのか、が分からない。自分が受け取れていないと思った時は聞きなおすし、相手の無意識ならこっちの情報が足りないからそれも聞くことになる。美しさだのどうのを求めるなら、他のセリフなり描写なりで補強すべきかも。親切なRPがうまくなれば解決って…こと!?強くなりたくなってきた。常に強くなりたい。

美しいRPってなんだ

上で美しいだのなんだのが出たので。自分で書いといて何だろうになった。美しいというのは、文字通りの景色が綺麗とか色彩がいいよねとかではなく、「RPのあの流れがよかった」の文脈で言うときのやつ。伝わりやすさが一番なのはとりあえず置いといて、美しいRPと言われた時に何を想像するか?

「あの場面が美しかった」というとき、自分は当時のRPを映像的に想像する。普段から見る主な表現媒体が文字じゃなくて漫画だからな気がする。漫画ならこう描ける、としょっちゅう考えている(し実際たまにそれを描く)。美しいRPと言えばだいたい、立ち位置がこうで、背景はこうで、セリフを置くならこう……と漫画的ドラマ的な画角に当てはめる。でも映像がよければ美しいってわけでもなくてRP(文章)も重要。絵が上手いだけでは美しくはならない。

で美しいRPってなに?自分は「表現の美しさ」にはそこまで感受性がないので、自分が思う美しいって他のことな気がする。色を宝石に例えることが美しいRPとは限らない。泥濘荒廃砂塵でも美しくなるのが文章のよいとこですからね。「美しい=洗練された」を意味しそうな気がしていたけど、これ書いていると違うかもしれない。洗練、言い換えたら鋭くて静かで無駄がないってことかなあ。RPに無駄なんてないからな~。
PC人々にとって余計なものがなくて真っすぐであること?人生に余計なものなんてないぞ。でも「とても美しい」よりも「美しい」のほうが美しいって話あるよね。そんな感じで、言葉にしたら美しくなくなることってあるかもしれない。あのRPよかったな……と美しかったな……はだいたい意味一緒だし、良いものを確認したいなら良かったものを見ればいいかも。美しかったRPについて話したいならRPログを見よう。「美しい」がだんだん「美味しい」に見えてきた。

場面切り替え

既存の物語でよくある「その翌日」みたいに時間が飛ぶ表現、定期系ならともかくリアタイRPのクエノだと時間を飛ばすRPはできない。ということをたまに考える。
例えば「彼は私に別れ話を持ち出した。私は返答に口を開いて……」→翌日。みたいな? クエノでやるなよって例文しか思いつかないのでもう何でもいいが、RPにはやりとりの空白がない。読者・観測者はおらず、どの場面でも必ず当事者同士で一から百まで間を埋める過程がある。って書いてたらなんか、物語の形になるまでにそぎ落とされる「間」のことちょっと気になってきた。クエノはPCの日常。何人たりとも人生をスキップすることはできない。

場面と場面の間だけでなくて、場面の開始時にもおんなじことを思う。例えば「野宿の準備からスタートする一場面」とか。クエストならたまにある導入だが、RPだけ(特にRPボードにおけるRP)だと必ず「合流」「途中」「終了」の流れを実際に追うことになる。終了をカットするなら「何のかんのあって立ち去った」みたいなダイジェスト区切りRPもできるものの、RPでそれやると必要以上に急いだ感じに伝わりそう(眠かったんなら無理させちゃったかな~とか思わせそうで)。

これらはいわゆるGMが担うべき役割であり、GMレスなRPではいろんな面で難しさがある。noticeで「こうしましょうか」って伝えればいいだけの話なんだけど、なんだけど……はい……そうです……。全解決…。でもちょっと憧れるじゃん↑みたいなの。
ここまで書いてだけどぉ~、実際クエストで「あなた方は馬車旅と野宿を繰り返して目的地に到着した」導入や「無事討伐を成し遂げた!そしてその三日後……」みたいな地の文出てくると、あ!そこに至るでのRPをしたかったな……!って思うのも事実。なんてわがままなやつだよ。