この話を聞いたことあるかい。
『黄金の巨人』の話だ。
簡単だよ、どこかの山に巨人が出るって話さ。
しかしただの巨人じゃない。その体は黄金なんだ。
叩いたって燃やしたって欠けることはなく、どれくらいの年月が経っても輝きは失われない。
体は途方もなく大きい。人間なんて、彼の手のひらに収まってしまうだろう。
彼は、鉱山の地下深くでずっと眠りについている。
いつ眠りから覚めるのかは誰にも分からないさ。
いつかは山ごと持ち上げて、その黄金の体を現す。
太陽の光をまるごと反射して、その光は大地を焼き尽くす……。
信じても信じなくてもどっちでもいい。しかしだね、
どこかの山に入って、そこで埋もれたような黄金を見かけたなら、
もしかしたらそれは巨人の指先かもしれないんだ。
……夢があるだろう?