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豆本チャレンジ!

2024-10-22

シナリオ:指先の友に、この本を捧ぐ。

小人さんは?

🎲1d6 → 3 小人さんの服装:ぶかぶかのブーツ
🎲1d6 → 4 特徴:好奇心旺盛
🎲1d6 → 5 豆本の製本:和綴じ
🎲1d6 → 6 豆本の登場人物:殺人鬼
バイオレンスが好きな趣味か、そういうお年頃か……?
🎲1d6 → 5 物語のテイスト:ホラー小説
13日の金曜日のほうか……

豆本

わたしの家に住み着いた小人は、スリルを求める冒険家だった。

出歩きすぎてよく壊す靴は、見る度に違うものになっている。最近はいよいよ繕うことも諦めたようで、すっかりぶかぶかだ。ちゃんとした靴を作ろうかと提案したが、それは断られた。(手先が器用だと思えない、のが理由らしい。失礼なやつだ。)
まだ見ぬものが好きなこの子は、わたしが読んでいる本の読み聞かせをよくねだった。特に好むのは冒険小説、ミステリー、それからホラーもの。話が怖ければ怖いほど、「怖い!」と転げて喜ぶのだった。

そんなあの子に、わたしが何かをプレゼントしようと思ったのは、仲良くなって一年が経つ頃だった。元々人付き合いが得意でないわたしは、あの子とのお喋りだけは好きだった。あの子は、わたしと一緒に本の世界へ入ってくれるから。――たとえそれが、恐ろしい展開の本だとしても。
好きなものを贈ろうと考えたときに、真っ先に頭に浮かぶのはもちろん本だ。それも、あの子が特に気に入っているホラー小説。でも、言うまでもなく、その本は人間用のサイズであり、あの子が一人でめくることなんて出来やしない。

もし、あの子の読みやすいサイズだとしたら、あの子も文字を覚えられるかもしれない。――そう思い付いてからは、あの子が遊びに来ない毎晩、小さな本づくりを開始した。
まずは小さな字で内容を書き写し、複数のページを切り抜いてまとめる。紙の一定の位置に穴を通して、細い糸でまとめる。あの子のやんちゃを思うと、糊付けどころか糸ですらすぐ分解されそうで不安だから、外れないように慎重に縫った。わたしだって、これくらいはできる。どんなものだ。

出来上がった小さな本は、原書と瓜二つとまではいかなくとも、なかなかそれっぽい仕上がりになった。小さくて、かわいい(中身がかわいくなくても、この事実は変わらない)。
明日は、あの子と出会ってから丁度一年になる。今まで遊んでくれてありがとう、これからもよろしくね、と、伝えたいことの復唱をする。

喜んでくれるだろうか? 妙にそわそわとする心を押さえつけて、わたしはベッドにもぐりこんだ。