KRXCUBJK

大釜を掻きまわす

2024-11-22

シナリオ:alone at the cauldron

キャラクター

#茶外套の薬草魔女

備蓄を増やすべき薬品はいくつかあるが、何でもかんでも溜めておけばいいというものではない。中には、鮮度が重要になる薬品もあるし、経過時間で効果が変わるような懸濁液もあるのだ。
さて、今日は何を作ろうか。

製作

薬1

🎲1d6 → 3
🃏 → ♠スペードの 2
🃏 → 🧡ハートの 12
🃏 → ♠スペードの 3
  • 効能:精神/甘くてフルーティ
  • 効能:感覚/上品な生クリームの味
  • 効能:精神/素朴なナッツ風味

まず作ることにしたのは、私も使う焦点薬だ。これは言わば、「気の移ろいを抑えて、目の前の作業に集中させる」効能を持つ。大切な仕事の前だとか、長く文章を書く時だとかに服用する。

まずは鎮静剤にも使われる白砂を一粒溶かし、妖精の道標という毒草と混ぜ合わせる。この毒性は熱を加えれば消えるので安全だ。これで、不要な物事への興味を抑える効果を加えることになる。無害とは言え、一滴でも用量を誤れば日常生活すらままならなくなる効能であるから、反対の効果を持つ材料で割合を薄めねばならない。
隠れ蓑の木の実を潰し、少ない水で捏ねて泥状にする。この実は内部に「生物の興味を削ぐ」液体を保持しており、地面の芽や成長途中の苗が食い荒らされることを防ぐ。未だ研究の進んでいない植物でもあるが……なかなか視界に映らないものだから、採集も調査も一苦労なのだ。
さて、これらの材料は割かし強い甘みを持つ。何だかんだで甘味というのは舌に馴染み、食しやすいのだ――特に薬としては。ただ、度を越した甘さというのも考え物なので、水分の投与と調味がてら薄味のペーストで伸ばすことにする。白雪蛇と呼ばれる爬虫類の硬い皮をすり潰し、水で溶く。この蛇も毒を持つ生物であるが、皮だけなら瞬発的な興奮作用を持つから、この薬にちょうどいい。

全てを混ぜ合わせ、整形して、日陰で丸三日ほど干せば完成だ。

🎲1d6 → 6

さて、作ったからには味見、もとい治験をしなければならない。ちょうど集中しなければならない作業があったから、念のため時限式のセーフティを用意した上で、服用してみる。毎度毎度、ほとんど自分の体で行う人体実験みたいなものだが――作業はなかなかはかどり、そして寝食を忘れて働くようなこともなかった。想定通りによく効いたようだ。今後も使えそうだから、レシピを書き留めておく。

薬2

🎲1d6 → 2
🃏 → 🍀クローバーの 8
🃏 → 🧡ハートの 13
  • 効能:行動/食欲をそそる
  • 効能:感覚/信じられないほど苦い

先の焦点薬を必要とした製造がこれだ。最近の流行り病に効くかと思い、しばらく試作をしているが……何せ材料の一つがとんでもなく苦いもので、なおかつ芳しい香りをこれでもかと立てるから、なかなかやる気を削いでくる。

まずはコーヒーノキの種子を剥き、砕く。ひたすら剥いて砕く。この種子は湿気に敏感だから野外で作業するわけにもいかず、室内に香りが充満して困った困った。手間のかかる加工だが、変にやり残しても余計面倒が増える。私の一日は破砕作業で潰れてしまった。
ある程度の粒が残るように砕けたら、同量の樹液に浸ける。種子の薬効と苦味の構造はほとんど分離しているので、無駄に苦味を味わう必要はないのだ。樹液はさらさらと水のように滑らかで、ものに溶け込みやすく、主に種子の苦味を抜くことを目的としている。空気を抜き、瓶をしっかりと締めたら、さらに別の容器に収めて――変に弱い容器を使うと、おそらく中身があふれかねない――いったん完成。戸棚の一番下にしまい込み、一週間ほど放置する。

🎲1d6 → 3

一週間後、取り出した種子は苦味も色味も抜け落ちて、まるでガラス片のようになっていた。氷砂糖のようで存在感はないが、効能は確かだ。温かい茶に溶かして飲めば、咳を抑えられる。
一方で、種子を取り除いた後の泥水のような色をした液体は、虫除けに使えるようだった。家の周りに撒けば、あれほど害虫が通行していた庭園に、虫どころか小鳥すら寄らなくなった。なかなか強力な虫除けだ。苦労して作業した甲斐もある……また作るかは、少々考え物だが。

ひとまずレシピは町の薬剤師に売り渡し、液が残れば破棄せずにもらえるように交渉しておいた。楽に物品が手に入るに越したことはない。