シナリオ:Black Mountain Numbers Station
PDFのデザインがいい。嬉しい。
やるぞ
通勤中に聞いているラジオに、何かの雑音が混ざるようになった。
数字のように聞こえてくるそれは、空耳と言い切ることもできたが……どうせ退屈な道中だしと、手慰みに記録し始めたのが始まりだった。
🎲1d6 → 4
🎲1d6 → 3
🎲1d6 → 1
🎲1d6 → 3
🎲1d6 → 2
🎲1d6 → 1
🎲1d6 → 1
🎲1d6 → 4
横ライン!
近頃、いろんな数字が目につくようになった。
商品札、バーコード、看板の電話番号。活字中毒の人間ならばつい目で追ってしまうような――ごく普遍的な行為ではあるものだが、少し前の自分はそうでなかったはずだ。
🎲1d6 → 4
🎲1d6 → 6
🎲1d6 → 1
🎲1d6 → 1
ゾロ目!
ラジオを切っている間も、数字が「耳につく」ようになった。
気のせいのように、空耳のように、誰かの吟じる声が数字を歌っている。幻聴だ。今のところは、気のせいということで済ませることもできるけれど。
🎲1d6 → 6
🎲1d6 → 5
🎲1d6 → 4
🎲1d6 → 5
日常で数字を認識している。
数字として描かれない数字も目に映るようになってきた。例えば記号、モザイク画、自然の織り成す模様……。標識の文字を目で追うように、ついつい意識がそちらに向いてしまう。
何の意味もないイメージ画だけど、それに意味を見出そうとしている。
🎲1d6 → 1
🎲1d6 → 4
被り~
🎲1d6 → 6
🎲1d6 → 1
🎲1d6 → 2
🎲1d6 → 1
被り~
🎲1d6 → 3
🎲1d6 → 3
夢を見た。
墨をこぼしたように真っ暗な山で、夕焼けを背にそびえる送信所。
訪れたことも見たこともない場所だが、得も言われぬ既視感がある。単なる夢だが、その風景は圧倒的な現実感を持って私の前に現れた。
あそこは何かを伝えるための建物なのか? 私がメッセージとして受け取るものは、全てあそこから発信されているのだろうか?
🎲1d6 → 2
🎲1d6 → 2
山が私を追ってきている。
電車を降りた後の短い帰路。あかあかと街灯に照らされた道でにふと違和感を感じた。行く先、街灯の、私のマンションがあるさらに先……星空が、何かに遮られている。その雄大な地平線は、瞬きの一瞬の間にいつもの馴染む風景へと戻ってしまった。
私には、一つの確信がある。夢ではない。
🎲1d6 → 5
🎲1d6 → 1
被り~
🎲1d6 → 3
🎲1d6 → 4
🎲1d6 → 5
🎲1d6 → 5
視界の隅を埋める程度だったあの山の幻覚は、日を追うごとにだんだんと存在感を増していった。
今や日常的に私の空を塞ぎ、お前の行くべき道だと示すように道を続かせている。あの暗闇の中に私の帰るべき場所はないはずだ。でも、私は行くべき気がしている。
🎲1d6 → 3
🎲1d6 → 3
被り~
🎲1d6 → 5
🎲1d6 → 5
被り~
🎲1d6 → 5
🎲1d6 → 6
正方形!
収集した数字は、日に日に数を増している。SNSをメモ代わりにポストしていたら、だんだんと興味を引かれるアカウントも増えてきたようだ。
数字だけ。何の情報もないアカウントだけど、何かに惹かれる人間は多いらしい。私のような人間は多いのかもしれない。あるいは、そういう人間が選ばれているのかもしれない――私のように。
🎲1d6 → 5
🎲1d6 → 2
🎲1d6 → 3
🎲1d6 → 1
縦線!
友人と連絡を取った折、数字を伝えられた。
しきりに数値を気にする私を見て、彼も興味を持ったらしい。半ば私の奇行を面白がっている様子でもあるが……何にせよ、喜ばしいことだ。私は数値の意味するところを知りたいのだ。
🎲1d6 → 3
🎲1d6 → 4
被り!
ある日を境に、私の目が数字に止まることはなくなった。同様に、暗い穴のようにも見える山はぱったり姿を消した。
あんなに心を囚われていたが、不思議と寂寥感はない。何をやっていたのだろう、私は? 数字にメッセージが隠されているなんて幻惑だ。隠された陰謀なんてものはないのだ。数字の積み上がったアカウントはそれきり消去する。じきに私は、一定時期の自分が何をしていたのかも忘れていった。