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短編小説をCW読み物シナリオに起こす

2022-09-01

この短編小説この短編シナリオにしたときの話をします。
一口読み物シナリオが増えたらいいな~!という心で書きました。

当時は真面目に作ってはいますが、別段大作とかではないので、それなりにふわっとご覧ください。

短編小説を書く

ここが最大の難関な気はしますが、言ってしまえば内容は何でもいいです。

当時の自分は一日1000字小説を書くぞ~!という試みを月一くらいでしており、ここで例に挙げている小説もそんな感じで書いたものになります。

基本的にはこのような順序で進めました。

  • キャラクター数人に適当な雑談をさせる
  • いい感じのところで感情の起伏を作る
  • いい感じにオチを付ける

早くも「楽して小説を書く方法」みたいになっていますが、まあいいんです。ちゃんと小説を書くのは慣れてからで……。

適当な雑談

適当はほどよいほうの意味で。舞台さえ分かれば何でもいいです。
依頼途中だったり、依頼帰りだったり、休日の寝坊した昼だったり……

とりとめなくてもいいです。内容がくだらなければそれはそれで日常の演出っぽくなります。
自PCがいたらとりあえずこんな感じだな、で書き始めましょう。

登場人物は二人以上でも一人でも。
複数人ならテーマを一つ置けば会話が作れるし、一人なら一人で「今日はあれをしなければ」「昨夜の依頼はこうだったな」「疲れているはずなのに眠れないな~」「そういえば先日同業者が言っていた……」の話運びになります。途中での合流もできます(最終的に複数人向け)。

書き出しは何でもOK。ひたすらセリフとモノローグを続けます。
ただしポエミーすぎると個人的に好みじゃなくなるので(重要)、比重的には行動>心情描写のほうが多分いいです。思い返すと自作は全部心情描写だな…

心情の起伏

そこそこの文量になったら、途中に何らかの起伏を作ります。
新しい発見、目を背けていたことへの納得、思いもよらぬ驚き、咄嗟に反応ができずに瞬き……とか、そういうやつです。起承転結の転ってやつですね。違うかもしれませんが、そういうことにします。

何か山っぽい山を作れば、何とな~くでも物語っぽくなります。
二人の対話なら「この人はああ見えるけど、実はこうだったのだ」だけでもそれっぽいです。

オチ

↑の起伏からいい感じにオチを付けます。いい感じにしか言ってない気がする

短編ですし、登場人物の気持ちの納得さえ見えればそれらしい終わりになります。

CW用に落とし込む

シナリオ制作っぽくなってきました。ここが本題です。やっていきましょう。

テキスト

コンテントに入れ込むにあたって、プロット的な前準備をします。

細分化する

まずは書いた文章を小分けにします。最長でもセリフウィンドウに収まる程度の量が目安です(5行くらい?)。
スペースの装飾だとか、発言の間を取りたいなら、もっと短文になることでしょう。自分の場合は「」と段落下げを含めて3行くらい、多くて4行くらい。

コマンド配置

場面転換・背景変更・SE・砂時計……入れたい演出のタイミングもメモっておきます。

実際にイベントを作りながらだと、どれをどういうタイミングで設置すべきかが結構分からなくなるので、今のうちです。慣れたら分かるかもですけど自分は……まだ!

CWエディタ?はあとからの挿入が地味に面倒なので、テストプレイ時のタイミング確認にも頼りすぎないのがいいかもしれません。後から追加するよりは、後から消すほうが楽というか。個人によるかも。あとPY制作ならそんなに大変ではない。

セリフの口調分け

そこそこ面倒なところです。

出来上がった小説は、地の文やセリフに登場人物の容姿・性格・行動原理が反映されています。口調もそうだと思えば、当然されていますよね。小説とはそういうものです。
なかったらこの項目は飛ばしてください。

ともあれ、そういうところを万人向けに調整する必要があります。
以下は自作のよるひとときで例を出します。

登場人物の口調分け

よるひととき元の登場人物は男女で、_男性口調、_女性口調のセリフがあります。
しかしプレイされるときはどの性別なのか、何の口調のキャラが来るのかは分かりません。
なので、対応口調分の差分を作る必要があります。

自分は普段 男/女/柔和(≒子ども)/敬語/粗野/老人/(+無口) の6種類くらいの口調に対応しています。
なので、各セリフにそれぞれのバージョンを付け足しました。大変~。

「無口」は、たま~に発言量を減らしたり、相槌だけになったりという程度の対応です。全セリフの対応はしません(短編で黙りすぎると会話が破綻するので)。
他の_無口対応シナリオを見ていると、発言量が減る/身振りになる系と幼いたどたどしい口調系に分かれている気がしますので、ReadMeとかにどちら系統なのか書いたほうがいいかもしれません。

口調分けの文体替え

ここは個人的なこだわりの話です。

例えば、男性口調で次のようなセリフがあったとして……

男性口調「今日は天気がいいな。出歩けなかった昨日とは大違いだ」

これの上品口調を考える際、素直にやるなら……

上品口調「今日は天気がいいですね。出歩けなかった昨日とは大違いです」

このようになるわけですが、自分はこう↓したい。

上品口調「外はすっかり快晴で気持ちいいですね。昨晩は出歩けませんでしたから」

この……こういう感じ!
口調で言い回し・語彙選びが変わる感じ!趣味です。

ただ、(特に今のCWは)口調=人柄ではないので、「敬語口調だけどお淑やかではない」というキャラクターも珍しくはありません。口調らしい表現にするか否かは作り手の好みですね。
本気でやろうと思ったら「口調とは別に、キャラクターが博識か否か」で語彙を変えるとかもあります。学者系は語彙選びも変わるとか。何かのシナリオで一度やりました。たいそう面倒かったけど達成感はありました。

利点は周回でのプレイ感が変わること。
欠点は上にある通り好みによる部分が大きいのと、意味がない可能性があること、作るのも地味に面倒なことです。

口調分け後の組み合わせ

↑の趣味を経た上で個人的に気を付けているのは、どの口調がどの口調と組み合わさっても違和感のないようにすることです。
例えば……

男性口調「今日は天気がいいな。出歩けなかった昨日とは大違いだ」
柔和口調「うん、散策日和だね。ねえ、どこか出かけない?」

上品口調「外はすっかり快晴で気持ちいいですね。昨夜は出歩けませんでしたから」
柔和口調「うん、散策日和だね。ねえ、どこか出かけない?」

………………。
あまりいい例が浮かびませんでした。ダメじゃん。

言いたかったのは話題(単語)の無駄な重複が起きるだとか、無に相槌を打っている状態になるとか。返答に中身がなさすぎる……みたいな。
こういうのは大量の組み合わせを書いていると結構やりがちです。でも実際に会話として見ないと気付きづらいのが困りもの。

血眼血眼~となる必要はありませんが、自分は気になるので早い段階で直しちゃう。
セリフくらいならまあ問題は小さいのですが、以下の「描写分け」をやり出すと、これが牙を剥いてきます。

個性による描写分け

登場人物の個性・特徴を用いた描写など、「PCによって変化しうる部分」は、差分を作り……たいですね~!よるひとときならば例えば……

 向かいに座るクダックが小さな笑いをこぼした。深夜だというのに防護眼鏡を頭にかけたままの男は、何杯目かの砂糖をカップに追加している。

防護眼鏡(ゴーグル)

「……眠れる気がしない、と思いまして」
「珍しいな。そんなに明日の行程が不安か」

珍しい(いつもは早寝)

「人が滅多に訪れない田舎のようですから。自分の余りある美貌が、男性方の注目の的になったら。はあ、一体どうやってかわそうかと……」
「心配して損した」
「冗談ですよ」

余りある美貌が(_秀麗、ぶりっこ)

「……ああ」すぐに思い当たった様子でクダックが頷く。「魔物とまとめて、ヨジも切り裂いていた。あれはらしくないミスだな」

切り裂いていた(風魔術師)

 マニカは思わず小さく笑いをこぼす。たった一度の誤射、だ。日頃しょっちゅう手を滑らせる男からしてみれば、ささいすぎることだろう。

しょっちゅう手を滑らせる男(ドジ)など。

「風魔術師とドジなPC向けです」みたいなシナリオにしちゃってもいいんですけど、せっかくなので万人向けに。
こういう部分の対応を作るのが好きなので、分岐を作ります。趣味が全て。

実際の差分

ゴーグルやメガネなど、単語のみの場合は、ステップを使ったよくあるアレで単純に差し替えます。一人称を反映するときのです。文中にステップの中身を表示させるやつ。
節約したがりのアカウントとしては単語の数だけステップが増えるのもちょっと嫌ですが、背に腹は代えられない。文章の大筋が変わらないならば何でもよし。

その他、文章の大筋が変わる部分はちょっと工夫が必要になります。

「~余りある美貌が~」

この会話は一塊の段落で独立しているため、まるまる抜けても文脈には問題がない段落です。
発言者が_秀麗・ナルシスト・ぶりっこなど、それっぽいことに全く当て嵌まらない場合はまるまるカットしました。

「眠れないのが珍しい」

所持クーポンから夜更かしかどうかを判定して、描写を分けました。
早起き=普段から夜が早いだろう&寝坊=寝るのが遅いだろう的なこじつけで。夜更かしに該当すると「元々夜更かしでしょう。」と発言が変わります。

「切り裂いて~」

戦闘スタイルが反映される部分は、得物:~・魔術系クーポンを参照し、該当する場合は文章を差し替えました。

「日頃しょっちゅう手を滑らせる~」

ドジ/猪突猛進などを所有する場合は元小説のまま手を滑らせる扱いとしました。
完璧主義者だと手を滑らせたことに分かりやすく凹み、_ひねくれ者だと「別に当ててもいいじゃん草」のような反応になります。

見ての通りめちゃくちゃ面倒なことをしていることが分かると思います。
こういうのが好きなのでついやってしまうんだ。なんてことだ。

(CW用ではない文章から)CWシナリオを作る場合、ここの対処ですごく出来が変わってくると思います。

実際どうなの?

このイベント組み、なんとデメリットのほうが多い。泣けますね。

利点は何といっても周回の見応えがあること。
ないよりはあったほうが楽しいこと。
PCの話だ~!感が増すこと。

欠点はこちらです。

  • 作るのが本当に大変
  • 周回しないタイプのプレイヤーは分岐が見えない
  • 条件に漏れる(例えば該当PCがおらず段落ごとカットされる等)場合、文章が減る=シナリオ自体がしょぼく見える

泣けますね。最後については各条件全てに等しい文量を用意するのが唯一の解決策ですが、当然ながら大変です。
頑張っていきましょう。

イベント組み・仕上げ

上記のあれそれを参考に、実際組み立てていきます。

シナリオ編集に関してはよそにも分かりやすい説明があるため省略です。
あとは作り手の気合。

おわり

シナリオ制作がんばろう!