- 2024-10-25褒めて伸ばす? 己の腕に失望することは、これが初めてではない。 私を慰める大人は、口を揃えて「まだ子どもだから」「成長は今からだ」と言う。――そう、目の前のG-Pだって。 「まだ子どもだ。筋肉の作られる
- 2023-04-10ラッパと残響 高らかに響き渡るラッパの音色。 ごった返す通行人と、その頭上を彩り飾るガーランド。 ついでとばかりに賑わう店先の呼び込み。 高名な冒険者の数年越しの凱旋だとかで、街は朝から賑わっている
- 2022-11-24夕焼けの照る宿で 鈍い光沢の鎧を着込んだ男は、夕陽に染まる建物を見上げた。リーン西方に位置するこの宿が、冒険者を受け入れていると聞きやってきたのだ。一冒険者もとい根無し草にとって寝食の確保は急務、はるばる尋
- 2022-11-18少年ある まちに、ある かぞくが すんでいました。
- 2022-11-18黄金の巨人この話を聞いたことあるかい。 『黄金の巨人』の話だ。 簡単だよ、どこかの山に巨人が出るって話さ。 しかしただの巨人じゃない。その体は黄金なんだ。 叩いたって燃やしたって欠けることはなく、どれ
- 2022-10-10猫 猫って不思議だ。暗闇でもこちらを見つけて、いつの間に忍び寄ってくるのだから。 ベンチに腰掛けた男は、同じくベンチに居座っている猫に目をやった。こいつは何が面白いのか、かれこれ数分は男をじっ
- 2022-10-01クッキー 子どものころ、厚紙をクッキーに見立てたことを、ふと思い出した。 何も誤飲したとか、そういう話ではない。昔、厚紙を材料に使う工作キットがあったのだ。必要な部品をくり抜いて最後に余った厚紙が、
- 2022-09-05深夜酒「分かってるでしょう」 目の前で言うトニは困り顔で、頬杖をついている。 「フワだって考えなしじゃないわ。あなたがフワの立場でも、きっとそうしたはずよ」 諭すような声色に、すぐに返事は出なか
- 2022-08-29よるひとときマニカは、既に空になっているマグを傾けた。冷たく乾きつつあるホットミルクの水滴は、底に浅く薄い筋を残している。 「辛気臭い面だ」 向かいに座るクダックが小さな笑いをこぼした。深夜だというのに
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